一般社団法人 日本ハンドボールリーグ(以下JHL、本部:東京都新宿区、代表理事:葦原一正)は、一般社団法人バスケットボール女子日本リーグ(以下Wリーグ、本部:東京都文京区、会長:河瀨直美)、公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(以下WEリーグ、本部:東京都文京区、チェア:髙田春奈)、株式会社モルテン(本社:広島市西区、代表取締役社長:民秋清史)と、「Keep Playing プロジェクト」という、スポーツの競技継続を考える取り組みを2022年より実施しています。
プロジェクト初となる、競技を横断して取り組む活動として、2023年2月8日に東京都内にて、3競技の各リーグ2名ずつ計6選手が参加し、競技継続の現状や未来について話す「競技横断座談会」を開催いたしました。
■競技横断座談会
座談会の様子は、JHL公式YouTubeチャンネルにて後日公開予定となります。
■参加者
JHL オムロンピンディーズ グレイ クレア フランシス プレステージ・インターナショナル アランマーレ 横嶋 彩 ※オンライン参加 Wリーグ 山梨クィーンビーズ 岡 萌乃 東京羽田ヴィッキーズ 水野 菜穂 WEリーグ 日テレ・東京ヴェルディベレーザ 黒沢 彩乃 ノジマステラ神奈川相模原 松原 有沙 司会 スポーツジャーナリスト 砂坂 美紀
■座談会内容
>私たちが今でも競技を続けている理由 JHL 横嶋選手 「私は6人兄弟だったので、環境的に大学に行けないだろうなと思っていました。高校でもいい成績を残せていなかったのもあって、これ以上競技を続けられないかもしれないと思っていましたが、周りや家族の支えもあって進学できました。自分が好きなものの中でハンドボールを超えるものがなく、競技が楽しくて続けてきて今があります。」 参加された6選手のうち半数は、これまでに競技をやめてしまおうかと考えた経験がある中で、周囲のサポート、環境が競技継続に繋がってきた経験から、周囲のサポートや環境の体制づくりという今後の課題を共通認識しました。 >どうしたら女性プレイヤーが競技を継続できるのか WEリーグ 松原選手 「体育授業の活性化はどうでしょうか。体育の授業は男女問わず、スポーツに関わることが出来る時間です。そこでの成功体験が増えれば、競技を始めるきっかけ、楽しむきっかけになるかもしれません。女の子は外で遊ぶ機会も少ないので、スポーツの魅力を再確認して続けたい気持ちになるではないかと思います。」 このような幼少期からスポーツの楽しさを根付かせるような案が出る一方で、結婚や出産後の競技継続への不安が議題に上がりました。 WEリーグ 黒沢選手 「結婚や出産、セカンドキャリアについて、明確なロールモデルが認知されていません。もっと発信が増えたほうがいいと思います。ロールモデルになるような人がいればそこを目指すことができると思います。」 それぞれのリーグで共通している課題として、結婚や出産している選手が少なく、セカンドキャリアの取り組みについても、情報が少ないということが挙げられます。今後の目標になる選手や引退後の生活などについて、周囲の選手たちへ情報発信を呼びかける必要性を認識する議論となりました。 >今後、競技を横断してやりたいこと JHL グレイ選手 「テレビなどメディアへのコラボ出演も有効活用したいです。運動能力を競うような番組や、違うスポーツに挑戦する…など、楽しそうに取り組むことでアピールしたいですね。これから始めたい人や続けたい人へのメッセージにもなるかもしれない。各競技の魅力も伝えられると思います」 この他にも「この3競技でスポーツフェスティバルをして、子どもたちに各競技を体験してもらって魅力を伝えたい」「コラボグッズを作って、子どもたちの憧れになるようにしたい」など、今後の『Keep Playing』活動の更なる広がりを感じる議題となりました。 今後も、Keep Playing プロジェクトでは、どんな競技レベルやライフステージでも、スポーツの持つ魅力に惹きつけられ、仲間と出会い、プレイを楽しみ、続けて欲しいと考えています。今回の座談会で語り合ったメッセージが、多くのスポーツをする人・みる人・支える人に届くことで、興味・関心につなげ、スポーツを継続する環境がより良いものになることに繋がっていくことをこれからも目指していきます。■参加者選手コメント ●JHL プレステージ・インターナショナル アランマーレ 横嶋 彩 これまで他競技の様々な年代の方とお話しすることはなかったんですけど、今回のKeep Playing プロジェクトの座談会で話をすることができて、考えの幅が広がってすごく充実した会になりました。 私が大事にしている「楽しむ」というところでは、共感する部分がすごくありました。そして、環境を整えるという部分ではどの競技でもまだ改善するところがあると感じました。 もっと他競技の試合を見に行く機会を増やしたいなと思っています。私も競技をしている中で、自分が楽しむことももちろんですが、見に来てくださった方々に何かを与えられるようなプレイが出来ればいいなと思いました。 ●JHL オムロンピンディーズ グレイ クレア フランシス 今回、このように他競技の方々と一緒に話し合う場を設けてもらって、自分に今までなかった視点から物事を考えることができました。ハンドボールのリーグはまだプロではないので、プロ選手として活動されている方の意見を聞いて、2024年にハンドボールもプロ化される予定なのでそれまでの良い材料になったと思います。Keep Playing プロジェクトの座談会では、女子スポーツの競技人口が高校生以降で減っていることについて考えました。競技を続けるベースに「楽しむ」ことが一番大事なんだな、と再確認することが出来ました。私が所属しているオムロンピンディーズは、(熊本県)山鹿市内の小学校を巡回してハンドボール教室を行なう活動をしています。そういった活動を通して、子どもたちにハンドボールの楽しさや魅力を伝える機会をもっともっと多くして、子供たちに成功体験をさせることで「ハンドボールは魅力的で楽しいスポーツ」だということを伝えたいです。そうすることで、高校生以降も大学で、さらには日本リーグで将来プレイする選手が増えるといいなと思います。今後も、ハンドボール教室や講習会などの取り組みなどをしていきたいです。写真提供:molten